今にも事切れそうなオルゴールの音色に、心掴まれた―ブログタイトルの話
ブログタイトルのお話。
需要はなくとも供給していくスタイルです。
壊れかけたオルゴール、いとおかし
1か月くらい前だったと思います。「なんかメルカリに出品できるものないかな~」とクローゼットの中を漁っていた時、こんなものを見つけました。元は母親のものです。
ロッキングチェアに座って目を閉じ、パイプをふかしながらまどろむおじいちゃん
おそらく、40年近く前のものです。
ただの置物かと思ったのですが、背面を見るとねじ巻きが。少し固かったのですがぐるぐると回してみると、とーーーってもスローテンポなオルゴールの音色が流れてきました。それに合わせるかのように、ロッキングチェアが微かに揺れます。
今にもこと切れそうで、曲調も分からない。耳をすませて呼吸をとめると、ようやく次がポロン、と鳴る。あれ、もう終わりかな?と思うと、またポロン、と音がこぼれる。
命の灯が消えたかと思ったら、また息を吹き返す。そんな感じ。
途切れ途切れの音符を集め、どうにか脳内で曲を再現しようと思うが、それが叶わないほどにゆっくりと流れるオルゴール。
その時ふと思いました。
西日でオレンジ色に染まった部屋で、この息絶えそうなオルゴールを聴きながら死んでいきたいな、と。
こんなにも安らかで温かな死を想像できたのは、私にとっては奇跡でした。
もう止まっちゃったかな?それとも壊れちゃったのかな?
もう一度ねじ巻きを回すと、そこには色褪せたシールが。
曲目: ブラームスの子守歌
と掠れた青い文字がプリントされていました。ブラームスについては「優しいピアノを弾く人」くらいしかイメージがなく、お気に入りの曲があったわけでもありません。それでも、たった8小節くらいのその曲を何度も繰り返しました。
ベッドに入る前に、youtubeで検索しました。美しい曲でした。揺りかごにゆられているかのようで、子供はすやすやと眠ってしまいそう。確かに、子守歌でした。
けれど私は、あの、曲として成立しないくらいに遅かった子守歌に心掴まれたのだと分かりました。
壊れかけたオルゴールの音色で、安らかに眠っていく自分をとても満ち足りた気持ちで想像できた。
一見不謹慎に感じるブログタイトルかもしれませんが、こんな経緯があって付けました。
今はやたら気合の入ったサリンジャーの考察記事をメインに書いていますが、スローテンポでゆったりと穏やかに進んでいけたらなと思います。
クレ5-56は伊達じゃなかった
余談です。
壊れかけのレディオならぬオルゴールを持っておじいちゃんにヘルプを求めると、
「クレ556で一発だよ」という答えが。半信半疑でスプレーしたら、ゆっくりと回っていたプロペラ(風切りというそうです)が滑らかに回転するようになり、一発解決しました。
事切れそうな音色が聴けなくなってしまいましたが、曲として成立する程度に、けれどとてもゆっくりと音が流れるので、クレ556様様だなと言うことが分かりました。
使ったこともないのに性能を疑っていたことを深く反省したいと思います。
本日もありがとうございました。
ストレス社会を今日も生き抜く皆様に、一瞬でも深い安らぎが訪れますように……